―同時受賞は2021年のBIMさんとラブリーサマーちゃん以来、4年ぶり2度目。同世代で話し合ったら面白いのでは……ということで、初の座談会形式による受賞インタビューとなりました。まずは両者の接点について聞かせてもらえますか？

MONO NO AWARE 加藤成順 (以下、加藤)渋谷にオン ザ コーナーっていう喫茶店があって、そこで初めて会ったと思う。僕はそれ以来、ちゃんと話したことないんですよ。

Dos Monos TaiTan(以下、TaiTan)そうそう、（加藤）成順と荘子itが会うのはマジでそれ以来。

Dos Monos 荘子it(以下、荘子it)俺らはそこで何してたの？

加藤「これから一緒に音楽やります」って言ってたけど。

MONO NO AWARE 玉置周啓（以下、玉置)なんで成順に挨拶してるんだよ（笑）。

荘子itそれって何年頃の話？

TaiTan2017年くらいじゃない？　最初のアルバムを出す前だと思う。あの頃、オン ザ コーナーにはハイプな人が集まってたんだよ。

荘子it「このカフェにいる人に話しかけたら得するんじゃないか」みたいなノリで声かけたってこと？

TaiTanそんなドサ回りみたいなことはしてないよ。普通に俺らがオン ザ コーナーに行ったら、成順はレジデンスのアーティストみたいな感じで奥の座席にいて「君たち何やってるの？」って。

加藤いやいや、俺もあの時が初めてだったから。捏造するな（笑）。

荘子itMONO NO AWAREはもうガンガンやってた感じなの？

玉置いや、俺らもバンドでデビューしたての頃で……（荘子itは）パソコン持ってて、俺らと喋る場なのに、ずっとパソコンで編集作業みたいなことをしてた。俺は最初、映像制作の人だって勘違いしてた記憶があるのよ。もともと映像を作ってたよね？

荘子itうん、作ってた。大学は映画学科だしね。

玉置そんな感じでTaiTanとのポッドキャストが始まって。自分のバンドとポッドキャストで忙しくしてるうちに、気づいたらありえないくらい素晴らしいアルバムを作ってて、それが『Dos Atomos』だったって流れだよね。

荘子it一気にそこまで飛ぶんだ（笑）。以前、〈近代人ほどいう物の哀れ／有り難がるのはもっと憐れ〉ってリリックを書いたとき、TaiTanに「MONO NO AWAREをディスってんのか？」って言われたことがあって。俺はそういうバンドがいると知らなかったんだよね。

TaiTanあの曲（「medieval」）を出したのって2021年でしょ。

荘子itTaiTanとポッドキャストを始めた頃じゃない？

玉置俺たち、すでに4枚アルバム出してたよ（笑）。

TaiTan知らずにいるってありえるのかな。

荘子itMONO NO AWAREを知らずに生きるのは不可能ってこと？

TaiTan割と距離が近いじゃん。

荘子it失礼な意図があったわけじゃなくて。それくらい俺は無教養というか、シーンのことを全然知らないわけ。さっきのカフェの話も、初対面の人の前でパソコンいじるなんて失礼なヤツだと思うけど、そういうことしちゃうのよ。中3くらいまで眼鏡をかけたことなくて、でも視力は0.1以下だったの。だからクラスメイトの顔はほとんど見えてなくて、名前と声で覚えてたんだよ。

玉置ははは！（爆笑）

荘子it眼鏡をかけずに人の顔を見なくてもやってこれたから、無関心っていうより、そもそも情報を得てないこと自体に気づいてない。だから要するに、失礼な意図はマジでなかったんだけど。

加藤俺、今日の朝にその曲を聴いたからびっくりしちゃって。

玉置俺とTaiTanは2年くらい前に「あそこってMONO NO AWARE？」のくだりがあったけど、成順は今朝初めて知ったから新鮮な痛みがあったわけだ。

荘子itマジでごめんね。弁明できてるかな。今日こうやって楽しく話して、帰ってから曲聴いて「こいつ俺のことディスってたのか」ってなるのが一番気まずいからさ。

TaiTanとにかくビーフじゃないってことね。よかったよ、あれはヒヤヒヤしたから。でも、届いてなかったビーフっていうのも面白いけどね。何年もこっちから仕掛けてんのに、ケンドリック・ラマーがずっとドレイクに無視されてる、みたいな。

荘子it知らずにドレイクも、ケンドリックに客演オファーとかしてくる、みたいなね。